ヒメオオの寄り道

蝶を中心に興味のおもむくまま色々なものを撮っています。

2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27

見沼区のKさんが2月2日に見つけた鳥居ムラツは増減を繰り返しながら遂に3月24日11時、
最後に残った雌個体↓が開翅後、鳥居の塒から旅立ちました。
2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27_a0126632_14132674.gif
2021.03.24見沼田んぼEポイント
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Kさんから教えていただいて2月6日に最初に撮影したのが↓の画像です。12頭の内痛みの激しい個体2頭、痛みのほとんどない個体5頭、傷み不明5頭でした。
この写真より「昨年発生の個体にしては傷みが少ないのでは?」という専門家の意見もありました。
私は直射日光を遮る庇があるので無駄な飛出しがなく痛みが少ないと考えていますが、集まったムラサキツバメの発生場所と併せて発生時期、塒集合時期を今年度確認出来たら嬉しいです。
今年度の課題の(1)です。
2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27_a0126632_14151974.gif
2021.02.06見沼田んぼEポイント
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次にこの塒の日間変動を塒内個体数と気温変化(さいたま市気象庁データ)をグラフ化↓してみました。2月2日の塒内個体数はKさん観測記録です。
2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27_a0126632_14302929.gif
以前報告しましたが、3月2日~4日と3月20日~23日の2回「0」頭となりました。
塒内個体数減少は、最高気温より最低気温の方が逆の相関がありそうに感じます。
東京化学同人社のSAライブラリー「アゴスタ フェロモンの謎」p47~p49に「ダニの集合反応の顕著な特徴の一つは、その場の湿度に依存しているという点である。」と記載されていました。また越冬塒から飛び出した個体は吸水・吸汁・吸蜜といった水分補給していることより、「絶対湿度」が重要ではと考え平均蒸気圧(熊谷市気象庁データ:さいたま市無いので)とグラフ化↓してみました。2月2日の塒内個体数は同じくKさん観測記録です。
2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27_a0126632_14524469.gif
3月2日に塒内個体数が「0」頭になったのを除くと「平均蒸気圧」に反比例しているようです。
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3月2日について私の観察記録はありませんが、気象庁さいたま市データより何故「0」頭になったか?グラフで推定してみます。↓
その前に前提条件を3点
①Kさんの観察によると外気温が20℃程度以上だと塒内個体は開翅して翅を温めなくても塒から飛び出せる。
②北風の影響は殆ど受けないが南風の影響は強く受ける。南風3m/s程度でも塒内のムラサキツバメは翅が揺れる。南風5m/s以上だと塒に帰るのは困難になる。
③当たり前ですが、雨の中ムラサキツバメはまず飛ばない。
2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27_a0126632_14594788.gif
推定される経緯は、
(1)3月1日に続き2日も気温が上昇し11時頃には20℃となり全頭塒から飛び出した。
(2)午後から塒に帰還しようと思っても15:00まで南風が5~8m/sと強く塒に戻るのが困難であった。
(3)16:00頃より北風に転じたものの10㎜という強い雨が降りだし、気温も10℃以下に急低下して蝶は動けなくなった。
と思われます。
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今まで越冬ムラサキツバメについては日間変動を中心に記載しましたが、私はこの蝶の越冬時の特徴は日内変動にあると考えています。
何故かというと
の通り、葉の上で集団越冬している場合日内変動が極めて大きいからです。
今回Kさんは、ほぼ毎日3回/日以上観察&記録されています。私は2回/週、2回/日程度の観察を行いました。
Kさんデータの解析が楽しみです。
2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツ越冬完了 in2021.02.06~03.27_a0126632_15212968.gif
私のデータを中心に3月6日について画像↑とグラフ↓で日内変動の概要を掲載します。(但し↓縦筋の棒グラフの元データはKさん観察)
11:30~14:10の私が観察した詳細は以下の通り複雑に推移しました。
①11:35 塒内5頭、雌開翅して飛出し塒内4頭となる。
②12:08 迷わず1頭帰還し塒内4→5頭になる。(2月中は帰還時に塒直前で逡巡して上手くいかない個体多かった)
③12:15 雄がしきりに開翅し飛出し塒内5→4頭になる。
④12:20 12:15飛出した雄個体とは別個体が塒付近に戻ってくる(塒内4頭、塒外2頭)
⑤12:48 迷わず1頭塒に戻り塒内5頭になる。
⑥13:06 ①と別の雌が13:00開翅し飛出し塒内4頭になる。
⑦13:15 1頭飛び出し塒内4→3頭
⑧13:18 ①⑥と違う雌飛出し塒内3→2頭
⑨13:38 1頭戻ってきて塒内2→3頭
⑩14:05 「雄」が戻ってきて塒内「雌」に求愛?求愛された雌が嫌がって飛び出す。戻ってきた雄も追いかけて飛び出る。塒内3→2頭
      戻ってきた雄が、飛び出た雌に塒外でも求愛するも雌が拒否して飛び去る。
⑪14:10 1頭戻ってきて塒内3頭
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「昆虫と自然」2021年3月号p23には「ムラサキツバメ」が、越冬前・後いずれで交尾しているか記載がありません。
但し、同じ仲間のムラサキシジミ、ルーミスシジミは越冬前には交尾の記録がないと記載されているので、ムラサキツバメも越冬後交尾と思われます。
これも、これからの課題(2)です。
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2021.03.06見沼田んぼEポイント
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3月25日、26日、27日と3日、鳥居ムラツを確認しましたが、いずれも「0」頭でした。
3月29日Kさんほかの確認でも「0」頭だったので2020年度見沼田んぼ鳥居ムラツの観測は終了とします。

今年度、この鳥居にムラツが越冬集団を形成し、課題(1)(2)にチャレンジ出来れば嬉しいのですが・・・・

Commented by MIYAKOUTA5040 at 2021-04-11 05:12
素晴らしい記録です。
ここまで地道にデータをまとめたものは無いと思います。
どこかで発表されてはいかがかと思いました。
ムラサキシジミの増減の推測、
私も気温の高い時に飛び出して、
その後の低温度や風のストレスで戻れなくなっているように感じています。
南国のチョウが集団を作ったり離れたりする事の意味、
謎が多いですね。
Commented by Farfalla65 at 2021-04-11 06:02
克明な観察記録素晴らしいです。
ここ数年ムラサキツバメの塒を
観察する機会は多いのですが、こ
うした探究心を持たないで漫然と
写真を撮っています。反省です。
Commented by 22wn3288 at 2021-04-15 08:22
詳しい観察記録ですね。
素晴らしいです。
ムラサキツバメの越冬状態の解明に寄与するところ 大きいと思います。
Commented by だんちょう at 2021-04-16 09:00 x
おはようございます!

さすがはヒメオオさん!
詳しい観察データ、貴重ですね!!

Commented by himeoo27 at 2021-04-17 11:31
MIYAKOUTA5040 様
本件についてはKさんのデータが纏まった後、
Kさんと発表するかどうか検討します。
ムラサキツバメは本来生息していた熱帯の乾季
に対応する為に集団形成するのでは?という説
もあると聞いていますが元の論文を読んだこと
はありません。
Commented by himeoo27 at 2021-04-17 11:56
Farfalla65 様
こちら見沼田んぼでは以前ムラサキツバメはそれほど多くありませんでした。
2016年1月に集団を始めて教えて貰い、それからポツポツ集団を自分で見つけて観察しています。
Kさんが見つけたこの塒は、今まで観察したどの塒と比べても極めて観察しやすい場所だったので、私だけでも2回/週×延べ3時間以上/回と徹底的に記録を取ることが叶いました。
Commented by himeoo27 at 2021-04-17 12:02
22wn3288 様
有難うございます。
この記録(含むKさんの記録)と見沼田んぼ他の塒の記録
IASさんを中心に奈良のHさん、横浜のYさんの記録
等々を総合的に纏めると
ムラサキツバメ越冬についてある程度の知見が得られると
思います。
Commented by himeoo27 at 2021-04-17 12:09
だんちょう 様
こんな観察しやすい場所で蝶が越冬しているのは
初めて見たのでKさんと2人で出来る限りデータ
を集めました。
Commented by nihon-burari at 2021-04-20 15:49
自宅で撮影した花の写真をアップをします。
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by himeoo27 | 2021-04-10 16:39 | シジミチョウ | Comments(9)
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