ヒメオオの寄り道

蝶を中心に興味のおもむくまま色々なものを撮っています。

2020年度見沼田んぼ越冬ムラサキツバメで少し分かったこと in2020.12.31~03.20

鳥居ムラツが見つけて貰ったのでプチ遠征も控えるコロナ禍の中、今年の見沼田んぼ越冬蝶観察は充実しています。
とは言え観察を開始した時には塒に12頭いましたが、今日3月20日は1頭になり集団解消は秒読みに入りました。
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in2020.03.20見沼田んぼEポイント

今回は、今年の見沼田んぼ越冬ムラサキツバメの観察で少し分かったことを①~⑦に分けて記述します。

①最初は正月に掲載した外気温4℃飛びだしたCポイントのウラギンご神木ムラサキツバメです。
①-1 写真を良く調べると飛びだす前にも葉表に付着した物質を吸汁していました。
①-2 コツバメのように閉翅状態で横倒しになり10分以上日光浴を浴びる。
①-3 全開翅前に15分以上「吸汁、閉翅日光浴等」準備をする。
①-4 全開翅前で5分程度日光浴する。(鳥居ムラツも塒から飛立つ時も同じく5分程度)
(1)飛出しは①-1と飛出し後の行動より水分補給も主たる目的の1つ
(2)①-2~①-4より低温時に塒から飛び立つ為に蝶は日光浴して体温を上げる
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in2020.12.31見沼田んぼCポイント

②吸水や吸蜜の観察
Eポイント鳥居ムラツもCポイントご神木ムラツと同じように水分補給を主たる目的の1ついにしているようで
隣の家の庭にある植木鉢の中↓や路上↓↓で吸水する姿を撮影出来ました。
また一緒に観察している見沼区のKさんはヒサカキの花で吸蜜する姿を撮影しています。
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in2021.02.20見沼田んぼEポイント
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in2020.03.14見沼田んぼEポイント

③日光浴で体を温める
吸汁・吸水・吸蜜といった水分補給の次に塒から飛び出してムラサキツバメがとる行動は、皆さんも良く観察する日光浴です。
③-1 ♀全開翅で日光浴
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in2021.03.10見沼田んぼEポイント

③-2 ♂全開翅で日光
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③-3 閉翅横倒し日光浴(コツバメと近似)
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in2021.03.17見沼田んぼEポイント↑、↑↑

④飛翔直後の蝶表面温度上がるか?
放射温度計(但し:放射率未調整、他の温度計との調整無)で
2月17日にムラサキツバメ「青」、モンキチョウ「橙」、ウラギンシジミ「灰」、キタキチョウ「黄」
の飛翔直後、飛翔直前塒日向、塒日陰を実測してみました。
下図の通り
④-1 塒日陰では20℃程度以下で外気温より数度高い
④-2 飛翔直後、飛翔直前塒日向では30℃程度以上と外気温より20度程度高い
以上より外気温4℃で飛出した個体も飛翔直後は外気温より20度程度高くなっていたと推定できる。
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⑤10℃未満で塒から飛び立つには
2月27日に外気温7℃なのに12:08♂、12:20♀と相次いで塒から飛び出した。
④と同じく蝶の表面温度を放射温度計で実測すると
⑤-1 雌雄とも12:03に表面温度21℃で塒の日陰部分から日向に移動。♂は直ぐに全開翅
⑤-2 ♂は全開翅で3分ほど日光浴後、12:08表面温度30℃で飛出した。
⑤-3 ♀は12:20~12:26日光浴後、表面温度29℃で飛出した。
⑤-4 一気に飛び立たずポツポツ1~2頭づつ飛びだす。
⑤-5 塒の上部の庇の為か、10℃未満の外気温では塒全頭飛び立つことはなかった。
①同様に10℃未満で塒から飛び立つには日光浴して十分体を温める必要があることが分かった。
見沼区Kさんの観察によると外気温が20℃前後まで高い時には、塒日陰部分から全開翅等の日光浴なくいきなり飛び出す個体がいた。
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⑥自然に飛びだした個体の帰還
自然に塒から飛出したムラサキツバメは、飛翔、吸水・吸蜜や日光浴をした後
⑥-1 早い個体では5分程度、遅い個体では数時間後に塒近傍に帰還する。
⑥-2 塒の近傍まで帰還しても暫く数分~1時間程度塒の廻りを飛び回る。
⑥-3 帰還について学習効果があると思われる。2月は失敗多かったが3月後半ではスムーズになった。
⑥-4 学習少ないのか、2月には↓の♀のように塒上部の庇にぶつかり帰還に手間取る個体いた。
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in2021.02.20見沼田んぼEポイント

この♂は無事帰還した。
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in2021.02.17見沼田んぼEポイント

⑦一晩くらいなら枯葉の中で野宿
鳥居ムラツでは
塒の中の個体数が、0頭から7頭に復活したり、安定した時期も単純に減り続けるだけでなく1~2頭急に増えることが度々観察出来た。鳥居ムラツ以外に1~数カ所の他の塒があることは明白です。
その1つの塒(野宿)の例が、下記2/9~2/10に観察した枯葉ムラツ↓です。
2/9見沼区Kさんが観察していると1頭が塒に戻れず鳥居の下の枯葉の中↓で一晩過ごしました。
2/10は外気温9℃で陽射しも弱かったので塒内の個体は全て飛び立つことはありませんでした。
しかし枯葉の温度は直射日光を浴び30℃に上がり無事この場所から飛び立つことが出来ました。
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in2021.02.10見沼田んぼEポイント

④⑤⑦の温度の記録は自然界では植物等により温度の上昇を緩和しているので、少し奇異に感じます。
しかし、建築物では夏場に無風だと屋上外表面は80℃前後、外壁表面は65℃以上になります。
故にムラサキツバメも日光浴により外気温より20℃程度高くなり飛び立ったと考えることが出来ます。



Commented by Farfalla65 at 2021-03-21 08:13
ムラサキツバメの越冬観察お疲れさま
でした。いろいろなことが分かり素晴
らしい成果が上がりましたね。放射温
度計というのがあるのですか。こういう
武器を使っての観察というのはすごい
です。
Commented by 22wn3288 at 2021-03-21 08:24
越冬蝶の飛び出しを詳しく観察され、素晴らしい報告に
感嘆しています。
表面温度の上昇も測定されて良い結果が得られていますね。
Commented by MIYAKOUTA5040 at 2021-03-22 04:37
ムラサキツバメの生態観察、
これは凄いですね!
吸水の姿を捉えていたとは恐れ入りました。
気温との相関も見事です。
集団でべたっと横向きになっている温度と起き上がった温度は
如何でしょう?
興味深い記事の提供、ありがとうございました。

Commented by だんちょう at 2021-03-22 09:02 x
こんにちは!

ムラサキツバメの青く紫色の
ハネの色がとても美しいですね!!

ヒメオオさんへの写真の撮り方も
とても上手ですね(*´ω`*)
Commented by Sippo5655 at 2021-03-26 21:56
細やかな観察、計測、分析
頭が下がる思いです。
蝶の越冬の深い一面が見えてきそうですね!!
私は人間ですが、実測の温度よりも体感温度を大切にしています。
ピンポイントの温度よりも、前後の推移によって
体感温度はまるで違うんですよね。
蝶も、同じかもしれないと思うことがあります。
Commented by himeoo27 at 2021-03-28 13:35
Farfalla65 様
放射温度計は九州でセメントを製造していた時
回転炉の表面温度測定などに良く使っていました。
表面温度を測りたい物に向けてボタンを押すだけ
で簡単に表面温度が測れます。
最近病院の入り口に設置されている温度計も
同じ仕組みと思います。
Commented by himeoo27 at 2021-03-28 13:40
22wn3288 様
このムラサキツバメの集団塒は
観測しやすい場所に形成されたので
撮影、計測なども容易に出来ました。
今年11~12月にも同じ場所で越冬集団
が形成されると嬉しいです。
Commented by himeoo27 at 2021-03-28 13:54
MIYAKOUTA5040 様
>集団でべたっと横向きになっている温度
2/17:9:30外気温10℃、ムラツ表面温度4.4~4.9℃
>起き上がった温度
2/17:12:45~13:45外気温12℃、ムラツ表面温度19.7~20.8℃
でした。
Commented by himeoo27 at 2021-03-28 14:03
だんちょう 様
「ムラサキツバメ」はシジミチョウにしては少し大きく
雌雄ともに表翅の色合いが素敵なので大好きな蝶です。
今回はKさんが素敵な越冬塒を見つけてくれたので
じっくり撮影叶いました。
Commented by himeoo27 at 2021-03-28 14:12
Sippo5655 様
おっしゃる通り確かに外気温と体感温度は全く違って感じます。
また今更ながら無風だと太陽による熱の放射伝達の凄さを痛感
しました。
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by himeoo27 | 2021-03-20 16:05 | シジミチョウ | Comments(10)
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