ヒメオオの寄り道

蝶を中心に興味のおもむくまま色々なものを撮っています。

絶滅危惧三種(キマダラルリツバメ、チョウセンアカシジミ、グンバイトンボ)

昨日、「蝶鳥ウオッチング」のyodaさん発案、「風任せ自由人」のmaximiechanさん運転で、昨年と同じ「さいたま市→新潟県中部→福島県会津三島町→さいたま市」という強行撮影行を実施いたしました。今回撮影のキマダラルリツバメ、チョウセンアカシジミ、前回6月26日撮影のグンバイトンボいずれも絶滅危惧種なのでその視点で感じたことを中心に掲載いたします。

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まずはこの時期の憧れ「キマダラルリツバメ」です。7月1日掲載した「オオヒカゲ」と対極をなすような小さく、機敏なシジミチョウです。セセリチョウが飛ぶように弾丸のようにビューンとやってきて、また突然凄いスピードで去っていきました。掲載した画像は、会津地方では珍しい、表翅に青く輝く部分の少ない関東亜種に近い「減退型」の♂です。
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「東北亜種」♂は表翅に青く輝く部分が広く綺麗ですが、ピントを合わせて上手くシャッターが押せず後姿がやっとでした。
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♀は♂と比べると少し「おっとり」していて、花に一旦止まり吸蜜を始めると多少驚かせても30分ほどじっとしてくれました。
会津三島町の「キマダラルリツバメ」は町の「天然記念物」に指定され、地元の角田さんを中心に生態系も含めて大切に保護されています。当然「卵」「幼虫」「蛹」「成虫」全て採取禁止です。ゆえに、本日掲載の種の中では少しは安心出来るようです。

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「チョウセンアカシジミ」は岩手県の一部と、山形県~新潟県の極一部しか生息していません。この新潟県の個体は人為放蝶したものが居ついたようです。
車の中で「食樹トネリコの木が伐採されていなければ良いが」と心配していたら、昨年存在した食樹の内、既に1/3もが伐採され無くなっていました。当然、昨年より個体数が減少していました。
残りの食樹を保護するためには一般に公開は必須でしょうが、狭い場所なので、公開すれば採取者が殺到しあっと言う間に本当に絶滅してしまいそうです。人為放蝶の生き残りと思われるので、天然記念物指定、生息環境保全を同時に行うのは難しいでしょう。とても悩ましい問題です。
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この子は新潟からキマダラルリツバメの保護地域に持ってきた「トネリコ」の木に偶然卵が付いていて会津三島町で増えたようです。
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♀は、食樹の幹を歩いて産卵ポイントを探して、
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卵は数個まとめて幹に産みつけられていました。
本来の生息地で生きながらえるのがベストと思いますが、食樹の保護、採取の禁止を徹底させて上記新潟県やこの会津三島町などでも生き残って欲しいものです。

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6月26日撮影した脚に白い紡錘状のものを付けたような珍妙なトンボはその紡錘状のものの形状より「グンバイ(軍配)トンボ」という名前です。モノサシトンボの仲間でとても細く、小さなイトトンボです。何故このような「軍配」を脚に付けているのか謎?です。また、この個体は、まだ色が「黄色」主体で弱令個体のようです。
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前からの写真を見ると良く分かりますが「軍配」は扁平であることが判ります。色が青いことより成熟した個体と思われます。
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生息地は綺麗な湧水の傍の緩やかな清流です。このトンボの保全の為には、採取圧を無くし、水環境の保全も行う必要があり上記2種の蝶以上にハードルが高いと感じました。ゆえに撮影場所は明記いたしません。
Commented by Sippo5655 at 2011-07-03 21:40
希少種たちの姿、じっくり拝見させていただきました。
キマダラルリツバメ、表も素敵ですが裏の模様のなんと艶やかなこと・・!
守っていくことの難しさも同時に感じさせられました。
グンバイトンボ、なんともお洒落なアンクレットをつけていますね^^
不思議だなあ。。
Commented by 武ちゃん at 2011-07-03 22:27 x
これはこれは、貴重な蝶と蜻蛉 ‥勉強になります!
後ろ翅の触覚? 二対もありますよ。
小さな生物にも、まだまだ謎が多いということですね。
昨日は、三県をまたにかけての大移動、‥お疲れ様です
Commented by torinara at 2011-07-03 22:43
見たことは勿論、聞いた事もない珍しいものをありがとう。
Commented by thecla at 2011-07-03 23:04 x
キマルリにチョウセンアカ、成果たっぷりの遠征でしたね。
一枚目のキマルリは本当に黒いですね。
Commented by yoda-1 at 2011-07-03 23:37
この組合せはなかなかの妙案ですね。
チョウセンアカのピントがよく来ていて素晴らしいです。
30匹に1匹しかないな、青紋減退型の撮影もうらやましいです。
Commented by Akakokko at 2011-07-04 00:02 x
キマルリとチョウセンアカ、と〜〜っても羨ましいです。
今日、キマルリを求めて京都を彷徨いましたが、惨敗でした。orz
来年は見て見たいです。
Commented by H.A. at 2011-07-04 13:04 x
チョウセンアカシジミもキマダラルリツバメもまだ見たことがないのでとてもうらやましいです。
特に、キマダラルリツバメは同じような色の種類がいないので、すごく新鮮な感じがします。
Commented by temenos at 2011-07-04 14:38 x
キマルリとチョウセンアカ、なんとうらやましい組み合わせでしょう!今年は東播磨でキマルリを探索しましたが、少し時期が早かったのか姿をみることすらできませんでした。青紋減退型、きれいですね。
Commented by daron3 at 2011-07-04 19:20
キマルリもチョウセンアカもボケボケの証拠画像のみなのでいつかは表翅共々じっくり撮りに行ってみたいです(^^)
トンボはほっとんど探したりしないので種類もいまいちわからないのですが、これは個性的ですね(^^)
Commented by maximiechan at 2011-07-04 20:08
キマルリは出会った中では一番貴重な減退型が構図なども素晴らしく撮影出来ていてよかったですね。
絶滅危惧種という視点からこの3種を取り上げたアイデアもグッドでした。
Commented by furu at 2011-07-04 21:55 x
以前この地域で撮ったキマルリに、青い部分が全くない個体がいたので♀だと思っていたら、後で調べると♂だったという事がありました。変異といえども多少とも青い部分がある方がいいですね。
人為放蝶の希少種を保護すべきかどうかというのは難しい問題ですね。
Commented by なつ at 2011-07-05 12:19 x
キマルリの開翅いいですね(^^)
私は時期が悪かったようですチョアカは出合えたので良かったです。
グンバイは本当に変わったトンボですね!!
Commented by ダンダラ at 2011-07-05 17:35 x
キマルリの青紋減退型は、撮影時にはちょっとうれしくない感じがしてしまいますが、貴重な記録になりましたね。
ここのチョウアカは、はたして喜んで撮影しても良いのかどうか、キマルリの保護をしている人が、こんなことを平気でして良いのかとか色々考えさせられる対象ですが、撮影する側にとっては1種増えてうれしいことはうれしいですね。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 19:56
Sippo5655様
キマルリ、チョウセンアカの保護と人為放蝶、食樹を含めた環境保全は、私のような撮影者の視点と、自然保護の本当の視点はかなり違うと思います。しかしながら新潟のポイントのようにほぼかって生息したであろう環境に放蝶し自然に増えた場合、私は「保護もあり」ではないかと考えています。
グンバイトンボは上記2種に勝るとも劣らぬ希少種のようです。見れば見るほど珍妙な「軍配」を脚につけておりました。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:01
武ちゃん 様
たまたま絶滅危惧3種をほぼ同時に撮影したので一気に掲載してみました。
キマダラルリツバメのように「尾状突起」が2対4本もあるシジミチョウの仲間は熱帯地方を中心に数十種いるようです。日本に居るのは残念ながらこの子だけかな?
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:08
torinara様
キマダラルリツバメは南方系の蝶で、東日本より、滋賀県、京都府、兵庫県、鳥取県を中心に西日本に広く分布しているそうです。
チョウセンアカシジミは↑の記載の通り継続的に生き残っているのは岩手県の一部、山形~新潟県にかけてのごく一部のみです。
グンバイトンボはキマルリと同じく西日本に広く分布しているそうです。しかし、緩やかな流れの清水でしか生き残れない、さらに小さいので簡単には見つけられないとのことでした。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:13
daron3様
上2種は昨年もyodaさんに同行して観察していたので楽勝と思いましたが、数百枚撮ってまあまあなのが掲載したくらいでした。来年こそはもう少しバシッと決めたいです。
トンボは、私もド素人でこのように特徴的な種を除くと皆さんに現地で聞いてメモらないと殆ど判別出来ません。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:15
maximiechan様
キマルリだけで数百コマ写しましたが、表翅がそこそこ撮れたのは第2ポイントでの減退型のみでした。
掲載順の今週の予定が不透明なことよりこのような掲載になりました。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:19
thecla 様
yodaさんの立案の素晴らしさとmaximiechanの運転により予定以上の成果を挙げることが出来ました。
この黒い個体は、第2ポイントのリーダーのようで♀にアピールしやすい場所でしっかり翅を広げてサービスしてくれました。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:23
yoda-1様
先日はお世話になりました。
①予想していたものの新潟のポイントのトネリコの1/3伐採はショックでした。まずこの点は必ず記載する。
②キマルリも好きな蝶で直ぐに掲載したい。
③グンバイトンボもこれ以上後回しにしたくない。
等々でこの配列になりました。
訴えたかった①が、どこまで皆さんに伝わったか疑問ですが?
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:27
Akakokko 様
噂ではキマルリが鳥取、兵庫県、京都府あたりではそこそこ居る?とのことですが、小さく素早いのと、活動時間が限定されているので写しにくい蝶なのでしょうね!私は保護している方のご指導で観察したので何とか出会うことが出来ました。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:31
H.A様
キマルリは保護地域以外で見つけるのは私の視力では全く不可能だと思いました。一度この時期、会津三島町まで遠征してみては!とっても素敵な蝶ですよ。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:33
temenos様
有難うございます。
上記3種はいずれも私の自力だけでは見ることも叶わぬ昆虫ばかりで、出会えて本当にラッキーでした。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:39
furu 様
後翅先端にオレンジの紋があるので、減退型はミドリシジミ♀のAB型のようでとても綺麗でした。本当は通常の青い翅の個体をきっちり写したかったのですが・・・・・・・・
新潟のポイントの例のように本来生息していたであろう環境に人為的に持ち込まれて増えて、定着した場合「保護は有り」と考えても良いのではと思います。トネリコの木が1/3程度根こそぎ伐採されていたのはショックでした。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:42
なつ 様
「雪国茶屋」のhpを見てキマルリ発生確認後、皆さんを誘って出かけてきました。
グンバイトンボはとても特徴的で写真を撮るモチベーションがアップしました。
Commented by himeoo27 at 2011-07-05 20:48
ダンダラ様
キマルリ減退型は自分としては結構気にいっています。有難うございます。
チョウセンアカシジミについては、新潟県と福島県の例は別に考えるべきと愚考しています。かって昔は、生息していたであろう場所に人為放蝶きれた希少種の保護について議論する必要があるのではと思います。それにしても新潟のポイントのトネリコの木が1/3根こそぎ切られているのはショックでした。
Commented by azuminomasa at 2011-07-05 21:52
こんばんは
キマダラルリツバメやチョウセンアカシジミ、ほんと貴重な蝶達ですね・・
まだ見たことは無いので一度見てみたいですね^^ シッカリ、撮られて
いて参考になります。グンバイトンボも初めてですが、珍しいですね。
Commented by midori at 2011-07-06 22:22 x
希少種勢ぞろい凄い。どれもいい角度から撮られていて、満足度が感じられます。キマルリは、長距離遠征しないとダメそうです。来年こそは...と思っています。
Commented by ごま at 2011-07-10 18:01 x
キマルリ、素晴らしいです。羨ましい限りです。
更に、チョウアカまで!!
遠くまで行かないとダメですかね。
(本日、北海道から戻りました)
Commented by himeoo27 at 2011-07-10 19:56
azuminomasa様
皆さんのご指導により3種の昆虫に出会うことが出来ました。
グンバイトンボは本当に珍妙な子で驚きました。
Commented by himeoo27 at 2011-07-10 19:59
midori 様
福島県における蝶2種は「雪国茶屋」のhp上で毎年、発生状況、観察会などが掲載されています。ぜひ一度hpを覗いてみて下さい。
Commented by himeoo27 at 2011-07-10 20:03
ごま 様
北海道遠征お疲れさまでした。こちらは暑いでしょ!
福島県の蝶2種は角田さんのhpをチエックしていると出会えると思います。神奈川県からだと少し時間がかかりますが・・・・・・・。ぜひ訪問してみて下さい。
Commented by kou at 2013-12-29 21:58 x
キマダラルリツバメやチョウセンアカシシジミなど素晴らしい写真ですね。首都圏は、プロの標本商や採集者が大々的に所謂ポイントマップを発行されているようですから、おそらくそのような場所に採集者や撮影者が大挙することになるのでしょう。まずは棲息環境の確保、採集者と撮影者のモラルの徹底(撮影者も、ゼフの撮影のために長竿で私の地元でガンガン樹の枝を折る方がいて驚きました。)が必要でしょうね。移入種ならばアカボシゴマダラ、ホソオチョウは手遅れでしょうし、悩ましいですね。
Commented by himeoo27 at 2013-12-30 06:39
kou 様
訪問ありがとうございます。
ゴマシジミのポイントの状況を考えるとご指摘の通り
撮影者も生息環境を考慮する必要を感じます。
今年、採取が微妙な某有名ポイントで採取者との関
係に悩むことがありました。来年からは、採取禁止
エリアか、採取者が狙わないような極々普通の昆虫
を丁寧に撮影していきたいです。
アカボシゴマダラは、関東地方南部では爆発的に
増えており今後の動向に注意していきます。
ホソオチョウは発生が局所的、散発的なことより、
人為的、かつ継続的に持ち込んでいるのでは?
と疑っています。
Commented at 2013-12-31 00:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by himeoo27 at 2013-12-31 06:28
鍵コメ 様
貴重な情報有難うございます。
今後ともよろしくお願い致します。
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by himeoo27 | 2011-07-03 21:19 | 自然保護 | Comments(36)

by ヒメオオ
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